Video Mod
メガドライブ1 (MD1 VA0 〜 VA7) にS-Video出力を追加します。
MODとしては他にも色々あるけど、ここで紹介するMODは手を抜かずに真面目に75Ωドライブ用アンプを追加する事で、
TV・ビデオデッキ・キャプチャーカードによっては映像が乱れる・色合いが可笑しいと言った受信側の依存性を抑えようとしています。
RGBエンコーダー CXA1145とCXA1645の違い
ゲーム機・マイコンについて扱っているサイトや投稿でCXA1145はCXA1645のローコスト版等と言われる事がありますが、
実際にはコスト削減と言うより機能的な違いで2種類用意されている様です。
- CXA1145 = XTAL発振回路と音声用アンプを内蔵。 代わりにS-Video出力に75Ωドライブ用アンプが無い。
- CXA1645 = XTAL発振回路と音声用アンプが無い。 代わりにS-Video出力に75Ωドライブ用アンプを内蔵。
そしてメガドライブ1に搭載されているのはCXA1145の方です。
つまりS-Video出力の為の信号自体は出ていますが、
75Ωドライブ用アンプが無いので出力電力が足りません。
なのでここで紹介するVideo Modでは、省略されたアンプを外付けしてやります。
ちなみにメガドライブではマスタークロックから3.57925MHzをCXA1145に供給してるから、
実際にはCXA1145に内蔵されている外部XTAL接続による発振回路は使われてないです。
写真はMB3516とNJM2268。
MB3516はCXA1645の互換品なんで、CXA1145をMB3516に載せ換えると言う手もあります。
その場合MB3516とCXA1645とでいくつかのピンの機能が違うんで、
回路に少し手を加える必要があります。
Schema for Version 0.03
前回Version 0.02はYが何かおかしい事に気づいた所で終わっていたのだけど、
最近になってCXA1145が載ったAMIGAにS-Video出力を付けるMODを見たらYの回路が少し凝ってたので、
ほぼそのまま使ってみたのが以下Version 0.03。(笑)
まだ実験してないからこれが合ってるかは分からないです・・・。(´・ω・`)
Schema for Version 0.02
今回アンプにはNJM2268と言うビデオアンプを使ってみます。
まぁ75Ωドライブ出来れば汎用オペアンプでも何でも良いんですけどね。
ビデオアンプは同じコストの汎用オペアンプよりビデオ信号用に最適化されているだろうと言う事で、
これを使ってみました。
実際NJM2268はS-Video用のビデオアンプとして使う前提で付けられた機能とピンアサインになってます。(笑)
ちなみにCXA1645が載った運の良いメガドライブ2やNomadの場合、
この回路図のNJM2268のpin4と pin5をCXA1645のpin16とpin15に置き換えれば、
メガドライブ2用のS-Video Modになります。
(その場合、NJM2268のpin3に繋がっている 0.1uFと22uFは要らないです)
Building for version 0.01
組み立て & 組み込み例。 (Version 0.01, 古いので上記の回路と違います)
シールド線は必須です。 シールドの両端又は片端をGNDに繋ぎます。
Luma (Y) とChroma (C) はそれぞれ、CXA1145のピンからS-Videoコネクターまでの距離が等しくなる様に配線します。
この距離にはMOD基板上の配線の長さも含まれます。
LumaとChromaのどちらかが長いアンバランスな配線は絵に表れます。
この写真ではSOP (表面実装) のNJM2268に直接めっき線をはんだ付けしています。
秋月電子のSOP → DIP 変換基板を使う手もありますが、
その基板はプリントパターンの引き回しに難があるので、
なるべく使わない方が良いでしょう。
この回路は無駄な引き回しに弱いです。
+5Vに接続されるコンデンサーの耐圧は10V以上必要です。
出力信号側に接続されている470uFのコンデンサーの耐圧は6.3Vあれば良いです。
耐圧が大きくなる程サイズもデカくなるんで、
他の部品とぶつからない様にサイズに注意して下さい。
この写真では左の2個が35V、右の2個が6.3Vです。
メガドライブ1の基板のCXA1145を裏面から見た様子。
メガドライブ1のVA0〜VA6はヒートシンクが邪魔なので、
裏面から配線すると良いです。
VA7はCXA1145がSOP (表面実装) になっているのと、
ヒートシンクがコンパクトになっているんで、表面から配線します。
最後に、MOD全体を覆う金属カバーを付ければよりノイズが減ります。
この時、金属カバーはGNDに接続して下さい。
また金属カバー、配線、基板上の部品、
全ての部分がショートしない様によく見てから電源を入れて下さい。
Video Drive
組み込んだMODの画質チェック用のメガドライブソフトを作りました。
vdrive.zip
SAA7130を使ったキャプチャーデバイスで取り込んだ映像。
左がS-Video、右がCompositeVideo。
SAA7113を使ったキャプチャーデバイスで取り込んだ映像。
左がS-Video、右がCompositeVideo。
こっちは720x480に対応してなかったんで、640x480になってます。
コンポジット出力をTVに繋いで、カメラで撮影した映像。
結構醜いですが、実際醜いです。(笑)
ブラウン管TVの画面を写真に取る時のコツらしき物。 カメラの性格によって違うので参考までに。
- ISO32相当 や ISO64相当 等の低感度にするほどフリッキングが目立ち難い。
- EVシフトでフリッキングが見えない範囲でマイナス側に寄せる。 基本的にTV画面は白飛びし易いので。
- ズームするかしないかで画質を比較して画質の良い倍率を見極める。
- 接写と少し離した位置とで撮って、画質の良い距離を見極める。 写真のサイズ一杯にTV画面を移す事に拘らない。
- 模様の付いた紙をTV画面に付けた状態でフォーカスロックしておくと、ピントが合い易い & 明るさを統一し易い。
RGB Encoders
メガドライブ1に載っていないRGBエンコーダーも含めたRGBエンコーダー毎の主な機能の違い。
KA2195はNTSC専用なのでPAL圏内のメガドライブでは使われていません。
「S-Video Outputwith 75Ω Driver」 が 「No」 の場合は、
S-Video出力化の為にビデオアンプが必要です。
「S-Video Output」 が 「No」 の場合は、S-Video出力化が出来ません。
なのでKA2195が実装されている場合はKA2195を他のエンコーダーに置き換える必要があります。
Device | Vender | Pin | S-Video Output | S-Video Output with 75Ω Driver | Clock Input (NTSC) | XTAL | Used On | Audio | PAL |
KA2195 | SUMSUNG | 24 | No | No | 3.58MHz | No | MD2 | Yes | No |
CXA1145 | SONY | 24 | Yes | No | 3.58MHz | Yes | MD2, MD1 | Yes | Yes |
MB3514 | Fujitsu | 24 | Yes | Yes | 3.58MHz | Yes | MD2, MD1 | Yes | Yes |
CXA1645 | SONY | 24 | Yes | Yes | 3.58MHz | No | MD2, Nomad | No | Yes |
MB3516 | Fujitsu | 24 | Yes | Yes | 3.58MHz | No | MD2, Nomad | No | Yes |
BH7236 | ROHM | 24 | Yes | Yes | 3.58MHz | No | No | Yes | |
AD725 | Analog Devices | 16 | Yes | Yes | 14.3MHz | No | No | Yes |
RGBエンコーダー毎のピンアサインの違い。
BH7236 | GND | R OUT | G OUT | B OUT | VIDEO OUT | VCC | NC | Y TRAP | Y OUT | C OUT | NC | NC |
MB3516 | GND | R OUT | G OUT | B OUT | VIDEO OUT | VCC | NC | Y TRAP | Y OUT | C OUT | NC | NC |
CXA1645 | GND | R OUT | G OUT | B OUT | VIDEO OUT | VCC | FO | Y TRAP | Y OUT | C OUT | VREF | IREF |
CXA1145 | GND | R OUT | G OUT | B OUT | VIDEO OUT | VCC | Y IN | C IN | Y OUT | C OUT | VREF | IREF |
MB3514 | GND | R OUT | G OUT | B OUT | VIDEO OUT | VCC | Y IN | C IN | Y OUT | C OUT | VREF | NC |
KA2195 | GND | R OUT | G OUT | B OUT | VIDEO OUT | VCC | NC | NC | NC | NC | VREF | IREF |
Pin # | 24 | 23 | 22 | 21 | 20 | 19 | 18 | 17 | 16 | 15 | 14 | 13 |
Body | o | |||||||||||
Pin # | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
KA2195 | GND | R IN | G IN | B IN | XTAL OUT | XTAL IN | NTSC (VCC) | AUDIO IN | AUDIO OUT | C SYNC IN | C SYNC OUT | VCC |
MB3514 | GND | R IN | G IN | B IN | C (100pF) | CLK IN | NTSC / PAL | AUDIO IN | AUDIO OUT | C SYNC IN | NC | VCC |
CXA1145 | GND | R IN | G IN | B IN | XTAL OUT | XTAL IN | NTSC / PAL | AUDIO IN | AUDIO OUT | C SYNC IN | C SYNC OUT | VCC |
CXA1645 | GND | R IN | G IN | B IN | NC | CLOCK IN | NTSC / PAL | BF OUT | YCLPC | C SYNC IN | NC | VCC |
MB3516 | GND | R IN | G IN | B IN | NC | CLOCK IN | NTSC / PAL | NC | NC | C SYNC IN | NC | VCC |
BH7236 | GND | R IN | G IN | B IN | NC | CLOCK IN | NTSC / PAL | BF OUT | NC | C SYNC IN | C SYNC OUT | VCC |
各ピンの意味。
- IREF
リファレンス電流用の電流入力。 - VREF
リファレンス電圧用の電圧入力。 - C OUT
S-VideoのChroma出力。 75Ωドライバー内蔵の場合は外付け回路はCRのみで良い。
CXA1145のみ75Ωドライバーを内蔵してないので、S-Video出力するには別途アンプが必要。 - Y OUT
S-VideoのY出力。 75Ωドライバー内蔵の場合は外付け回路はCRのみで良い。
CXA1145のみ75Ωドライバーを内蔵してないので、S-Video出力するには別途アンプが必要。 - Y TRAP
クロスカラー (虹色滲み) の調整。 このピンとGNDの間に C (NTSC時 28pF程度) と L (NTSC時 68uH程度) を直列に繋ぐ。 L が大きい程クロスカラーが減り、解像度が下がる。 - FO
内部フィルター用。 CXA1645ではNTSCの時に20kΩ、PALでは6kΩ の R を接続する。 高精度の抵抗器が良い。 - C IN
コンポジットビデオ出力用のChroma入力。 Chroma出力と入力が内部接続されているエンコーダーではこのピンはNCかY TRAPになっている。 - Y IN
コンポジットビデオ出力用のY入力。Chroma出力と入力が内部接続されているエンコーダーではこのピンはNCかFOになっている。 - VIDEO OUT
コンピジットビデオ出力。 - C SYNC IN
コンポジット同期入力。 垂直同期、水平同期信号を複合させた物。 - C SYNC OUT
コンポジット同期出力。 - AUDIO IN
モノラル音声入力。 - AUDIO OUT
モノラル音声出力。ヘッドフォン・スピーカーでは無く、ライン出力用。 - NTSC/PAL
Vccに接続するとNTSC、GNDに接続するとPALにエンコードされる。 KA2195ではNTSC固定なので常にVccに繋ぐ。 - XTAL IN
クリスタル入力。 水晶発振子を接続するか、外部クロックを入力する。 NTSCは3.58MHz、PALは4.43MHz。 - XTAL OUT
クリスタル出力。 水晶発振子を使う場合は水晶発振子を接続する。 - C
位相生成用容量。 このピンとGNDの間に100pFの C を接続する。 - YCLPC
Y信号のクランプ期間用容量。 このピンとGNDの間に0.1uFの C を接続する。 - BF OUT
BF信号のモニタリング出力。 普通は使わないので未接続。 - Vcc
電源入力。 +5V。 - GND
接地。
AD725はピン数が違うので表に載せていませんが、 RGB出力と音声出力を無くし、S-VideoとC-Videoの出力に特化しています。 しかもAD725はこれらの中でも唯一の現行品で生産中です。